
社会人は学生よりも勉強しないってホント?

社会人が勉強しないのには理由があるの?
こんな疑問にお答えします。
この記事は、『社会人の勉強時間の誤解』と『勉強をしようとしない心理』について解説していく内容です。
結論を先に言っておくと、社会人の平均学習時間は6分という統計データはたしかに存在します。
ただし、すべての社会人が勉強をしていないわけではなく、既に勉強している人としていない人との差が大きいということも知ってほしいのです。
ちょっと勉強するだけで、周りの人よりも成長できちゃうってことだね!

それでは続きをどうぞ!
本記事の内容
- 社会人が勉強していない説の一部誤解について
- 社会人が勉強しなくなる集団心理と脱出方法
-
組織が変われないのはどうして?【職場改善を阻む3つのバイアス】
みなさんもこのような経験はありませんか? この記事では、組織が陥りやすい思い込みや変化を嫌う理由について解説します。 人は、自らの慣れ親しんだ事柄について「必要以上に価値を感じやすい」生き物です。 会 ...
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社会人が勉強していない説には一部誤解があります

学生時代はテスト勉強や受験など、プライベートでの勉強についてイメージできますが、就職した人たちはどうなのか気になりますよね?
【関連記事】>>社会人が勉強しない理由とは?読書習慣化のコツとおすすめツール2選
こちらの記事でも説明していますが、社会人は学生と比較してもプライベートでの平均勉強時間が短いことがわかっています。
もちろん、すべての社会人が勉強をしていないわけではありません。
誤解しやすい部分についても、「平成28年社会生活基本調査結果(総務省統計局)」を参考にして解説していきます。
ちなみに、全国から無作為に選定された約20万人が調査の対象です。
勉強などの行動時間割に関しては、9日間の調査期間の中から、連続した2日間をランダムで指定されています。
(例;Aさんは月曜と火曜の行動時間を回答、Bさんは土曜と日曜の行動時間を回答)
社会人の平均勉強時間はたったの6分!?
普段の就業状態について「主に仕事」と回答した人のうち、「学習・自己啓発・訓練(学業以外)」の総平均時間は6分
出典;「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
「主に仕事」の人たちには、学生や家事のかたわらに仕事をしている人たちは含まれていません。
社会人のプライベート勉強の平均時間が1日たったの6分なんて驚きですね。
ところが、この数字は少し誤解を生みやすいため、そちらについても解説していきます。
社会人で仕事以外の時間に勉強している人は5%以下
普段の就業状態について「主に仕事」と回答した人のうち、「学習・自己啓発・訓練(学業以外)」の行動者率は4.5%
出典;「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
これは、「主に仕事」の人達のうち、たった4.5%の人しか勉強をしていないという意味です。
つまり、95.5%の社会人が勤務時間以外では勉強をしていないことになります。
では、勉強をしている4.5%の人たちは、平均何時間くらい勉強しているのでしょうか?
社会人で仕事以外の時間に勉強している人たちの平均時間は123分
普段の就業状態について「主に仕事」と回答した人のうち、「学習・自己啓発・訓練(学業以外)」の行動者平均時間は123分
出典;「平成28年社会生活基本調査結果」(総務省統計局)
普段は仕事をしている人のうち、勉強をしている人たちは1日約2時間のプライベート勉強をしていることになります。
社会人の勉強時間まとめ
- 社会人で勉強しない人は95.5%
- 社会人で勉強する人は4.5%で、1日の平均勉強時間は約2時間
それぞれが2日間のタイムスケジュールだけを回答しているため、毎日勉強しているかどうかはもちろん不明です。
しかしながら、勉強している人としていない人で差が大きいということははっきりしています。
次に、社会人が勉強しない理由を心理的に考察してみましょう。
社会人が勉強しなくなる集団心理と脱出方法

日本における主だった理由として、「年功序列」や「終身雇用」という制度の影響は大きいでしょう。
仕事をして、仕事に関する付き合い(飲み会など)をしていけば、将来に対して過度に心配をする必要もない時代だったのです。
結果として、プライベートで仕事以外の勉強をする習慣が生まれなかった人が多数派ということになります。
しかしながら現在では、みなさまもご存知の通り、「終身雇用」や「安定」といった働き方は終わりを迎えようとしているわけです。
そうした安定雇用の流れをそのまま受け継いでいる組織では、次のような心理状態に陥りやすいとも言えます。
安定雇用の副作用
- 現状維持バイアス
- 同調行動
そして、集団心理や固定的な考え方に対抗していくためには、成長マインドセットである必要があります。
順番に見ていきましょう。
現状維持バイアスが個人の成長も阻む
人は、損失回避の思考により、変化による可能性よりも現状維持を好む
以前にこちらの記事でも書きましたが、今が問題なければわざわざリスクを冒したり、変化すること自体を回避したがる傾向のことです。
【関連記事】>>組織が変われないのはどうして?【職場改善を阻む3つのバイアス】
組織においては、「安定」がもたらす安心感による弊害ともいえるバイアスになりますね。
だだし、世の中的には副業の解禁の流れに代表されるように、変化することが当たり前になりつつあるわけです。
現状に留まって勉強をしないということは、安定雇用の保障がない以上、今後の収入や生活にプラスに働くことはないでしょう。
むしろ、そうした当たり前への対策を勉強しておくための機会を損失していくわけです。
おすすめの関連書籍
行動経済学の名著であり、組織や周囲に安易に流されないためにも必読の一冊です。
私たちの日常の行動や思考は、無意識のうちに間違った判断をしたりします。
こうしたバイアスの存在を知ることで、日々の選択に対して批判的な思考を持つことができるようになりますよ!
同調行動によって周囲に合わせてしまう
人は、集団のルールに合わせて自分の意見や行動までも変えてしまう
これには、「群れ」における本能的な心理が作用しています。
群れにおける心理
- 人と違うことをして嫌われたくない
- 誰かに合わせていれば安心
自分の身近な常識に対して、それが自分の考えと違っていたとしても、ついつい合わせようとしてしまうわけです。
ここで言う身近な常識とは、会社や組織のルールと、それに染まっている上司や同僚の考え方が該当します。
組織を盲信する人の思考
- 今の組織に献身すればいい
- 君たちも、私たち(上司)のようになればいい
上司の立場で考えてみると、自分の過去の行動や思想を基にして、後輩を指導するしかありません。
職場の人たちが日々勉強していれば良いのですが、統計によると大多数は勉強をしていないわけです。
【関連記事】>>友達や恋人選びの重要性!成長志向で考える身近な人間関係と影響力
では、そうした集団に惑わされないためにはどうしたらよいのでしょうか?
成長マインドセットで集団から抜け出そう
周囲に関係なく、自分を向上させることに関心を持ってみる
ここまで読み進めていただいたことで、みなさまも組織における集団心理の落とし穴に触れていただけたはずです。
終身雇用による「安定」した未来ではなく、「不確実」な未来が待っているわけで、柔軟に思考する必要があります。
つまり、自分自身を成長させることができるという考え(マインドセット)を持つ必要があるわけです。
キャロル・S・ドゥエック教授は、こうした『成長マインドセット』を持つことで、その後の人生に大きな開きが生じると述べています。
ちなみに、自分の能力や才能は生まれつき変わらないという考えのことを『固定マインドセット』と呼ぶそうです。
おすすめの関連書籍
人の考え方を「固定マインドセット」と「成長マインドセット」の2つに分類し、その長所や短所について解説した一冊です。
自分の現状に不安や不満がある方は、「成長マインドセット」の思考方法は知っておいた方が良いでしょう。
人は、いつのタイミングからでも変わることできます。
組織の中だけでなく、プライベートでも読書やYouTube学習など通じて、もっと多角的な考え方に積極的に触れていきましょう。
社会人の勉強時間についてのまとめ
さいごに、この記事のポイントを再確認します。
社会人の勉強時間
- 社会人で勉強しない人は95.5%である。
- 社会人で勉強する人は4.5%で、1日約2時間の勉強をしている。
勉強しない心理
- 「組織に献身して仕事をすれば今後も安心」という時代に合わない現状維持思考。
- 周囲の行動や思考についつい合わせてしまう同調行動の影響。
集団心理に惑わされることなく、あなたの意志で自分の人生に責任が持てる行動をしていきましょう。
また、この記事内で紹介した書籍は、自分の可能性や考え方を見直すことに必要な「気づき」を与えてくれる良書たちです。
参考文献
- 平成28年社会生活基本調査結果(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/data/shakai/2016/index.html
- ダニエル・カーネマン,『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』(上)(下),早川書房
- キャロル・S・ドゥエック,『マインドセット「やればできる! 」の研究』,草思社
この他にも、自分の意識を変えるための記事をこちらにまとめています。