
もっと家事や育児を手伝ってほしい!

自分なりに家庭のこともやっているつもりだ
みなさんも、このようなことを考えた経験はありませんか?
この記事では、夫婦やカップルの関係が悪化する心理状態について解説します。
人は、他人のことよりも自分のことを必要以上に評価してしまうものです。
また、ちょっとした価値観のズレを認め合えないということは、パートナーとの関係にも少しずつヒビが生じているとも言えます。
そんな思い込みについての研究や対策といった内容ですので、自分の場合をイメージして読んてみてください!
これを意識するかどうかは、今後のパートナーとの関係に大きく影響しますよ

それでは続きをどうぞ!
本記事の内容
- 「いつも自分ばっかり」と感じる理由は?
- 相手と良い関係性を保つには?
-
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「いつも自分ばっかり」と感じる理由は?

夫婦やカップル間において、不平等に感じる瞬間なんて誰にでも存在します。
妻の主張
- 「夫が家事に協力してくれない...」
- 「子どもの準備や世話はいつも私…」
- 「私も働いているのに...」
- 「普段は何も手伝わないくせに、家事や子育てに口を出して欲しくない!」
- 「数回の皿洗いやおむつ替え程度で、家事やってますアピールすんな!」
その一方で、
夫の主張
- 「出社前のゴミ出しや皿洗いとかやってるのに...」
- 「休日はいつも子どもの相手をさせられる...」
- 「ストレスや残業も多いし、家の中くらいはゆっくりしたい。」
- 「そんな面倒なことしなくても、もっとこうした方が効率いいと思うんだけど。」
- 「せっかく手伝っているのに、なんで文句言われなきゃいけないんだ!」
このような日常のすれ違いにより、互いの信頼感にも影を落とし、相手への想いも冷めていくわけです。
では、どうして「自分ばかり」という感情を抱いてしまうのでしょうか?
「自己中心性バイアス」が原因
人は誰でも、「自分の価値観というフィルター」を通して、他人を判断してしまいます。
つまり、「自己中心性バイアス」の罠にかかってしまうわけです。
「自己中心性バイアス」とは
自分の気持ちや視点を基にして、他人の気持ちや物事を想像してしまう心理傾向。
他人がしたことよりも、自分自身のしたことを過大評価しやすくなる。
関連して、夫婦のすれ違いを題材にしたおもしろい研究をご紹介します。
カナダの心理学者であるマイケル・ロスとフィオーレ・シコリーによる、「夫婦間における家事などへの貢献度」を調べた研究です。
結論としては、実験に参加したカップルの多くで、お互いに自分の貢献度を過大評価する傾向が見られました。
被験者について
- 37組の夫婦(そのうち20組の夫婦は子持ち)が調査対象。
研究手法の概略
- 夫婦に関連する20個の質問(子どもがいなければ19個)に、妻と夫それぞれが回答する。
- 質問例は、「朝食の準備」「子どもの世話」「口論の原因を作るのは?」「愛情を表現しているのは?」など。
- 回答方法は質問内容へのお互いの貢献度や発生させる割合である。
- さらに、各質問への夫婦それぞれの具体的な貢献例を挙げてもらう。
結果の要約①
- 37組中27組において、自分の貢献度を過大評価する傾向が見られた。
お互いの貢献度を足し合わせると、本来は100%となるはずです。
- 例えば、妻が自分の貢献度を60%だと申告した項目について、夫は自分の貢献度を40%だと申告していないと不合理な結果となります。
ところが、実験に参加した夫婦の7割以上において貢献度割合の合計が100%を超えてしまいました。
つまり、夫婦間でお互いに「自分のやったこと」は大きく評価し、「パートナーのやったこと」は小さく評価したわけです。
では、お互いの具体的な貢献例の数についてはどうだったのでしょうか?
結果の要約②
- 自分の貢献例は約11個書けたのに、パートナーの貢献例は約8個しか書けなかった。
これは当たり前と言われれば、そのとおりです。
要するに、「自分がしたこと」は思い出しやすく、「パートナーがしたこと」は思い出しにくいということになります。
自分の視点に偏ってしまうことで、結果としてパートナーよりも自分の行動を評価してしまうわけですね。
相手と良い関係性を保つには?

ここまでは、パートナーのことを軽視してしまう理由について解説してきました。
ではつぎに、このような思い込みへの対策を考えてみましょう。
パートナーの行動に目を向ける
「自分のしたこと」は思い出しやすく、「他人のしたこと」は思い出しにくいというのは、情報の量が違うという点も関係しています。
自分自身の行動や思考は「常に最新情報」が更新されるのに対して、パートナーについては「一部の情報」が広告の見出しのように目立っている程度です。
見出しだけでなく、ちゃんと内容にも目を通さないと理解できるはずもありません。
さらに、全部真に受けるのではなく、書き手の意図も想像する必要があるわけです。
対策①
- パートナーの行動に目を向けて、情報量を増やす。
- パートナーの視点を想像し、行動の意図を考える。
おすすめの関連書籍
人間関係において、他者思考がいかに重要かということを教えてくれる一冊をご紹介します。
心理学系の論文をベースに、読者の人生をより成功へ近づける行動へのヒントを与えてくれる一冊です!
相手を変えるには、先に自分が変わる
「自己中心性バイアス」は、自分だけでなくパートナーにも同じようにフィルターがかかります。
相手との関係性を良くしたいのであれば、まずは自分自身の行動や考え方を変えることがスタート地点です。
他人の考え方や行動を変えさせるということは、簡単ではありません。
そのキッカケとなるのが、パートナーからの気配りや自分のことを見てくれているという重要感です。
対策②
- パートナーを否定するのでなく、自分の行動を変える。
- 日常のささいなことほど、目を向けて感謝を伝える。
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こちらの書籍も心理学の研究をベースで書かれており、コミュニケーション場面でどのように自分を変えていくべきかを教えてくれますよ。
自己犠牲のやりすぎには注意
パートナーに気を配りすぎるが故に、なんでもかんでも自分がやってしまうのはNGです。
結果として甘えを生み、相手が感謝するという気持ちになるための機会を奪ってしまうことに繋がります。
仕事から家事や子育てまで、すべてを平等になんて理想論を言うつもりは全くありません。
不公平感のない役割分担を、お互いに話し合うことが大切です。
対策③
- 自己犠牲はやり過ぎず、相手にも行動の機会を与える。
- 一方的に押し付けるのではなく、相手自身に考えさせるよう誘導する。
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アサーティブは「自己主張」という意味になりますが、ここでの意味は決して一方的な自己主張などではありません。
アサーションとは、お互いを尊重し合いながら意見を伝え合うコミュニケーションのことです。
夫婦関係が悪化するバイアスと対策のまとめ
さいごに、この記事のポイントを再確認します。
関係悪化の原因
- 人は、自分を過大評価しやすく、パートナーを過小評価しやすい。
- 自分の価値観というフィルターで、パートナーの行動を判断してしまいやすい。
- 自分自身の情報量と比べると、パートナーの情報量はどうしても少なくなりがち。
関係悪化の対策
- パートナーの行動に目を向け、相手の視点で意図を考える。
- 相手を否定するのではなく、まずは自分が変わる。
- 自己犠牲になり過ぎないよう、相手自身にも考えさせるよう誘導する。
夫婦やカップルといえども結局は他人同士なので、考え方に違いがあって当然です。
価値観の異なるお互いを尊敬し合えるということが、円満な夫婦関係のコツと言えます。
参考文献
- Michael Ross and Fiore Sicoly.(1979). Egocentric Biases in Availabilityand Attribution. Journal of Personality and Social Psychology, 37, 3, 322-336.
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