
交渉を有利にすすめたい!

相手との共通点って何でもいいの?
こんなお悩みを解決する内容です。
この記事では、相手との共通点がもたらす心理効果についてご紹介します。
人間関係において、「共通の趣味があれば仲良くなれる」なんてよく聞くお話ですね。
実は、ほんのちょっとした共通点でさえ、無意識のうちに影響力が働きます。
結論を先に言っておくと、相手に「自分と関連がある」と好意的に感じてもらえるのであれば、どんなに小さな共通点でも有効です。
私もTwitterで犬のアイコンを見かけると、親近感を覚えたりします。

それでは続きをどうぞ!
本記事の内容
- 類似性の法則とは?
- 共通点なら何でも影響するの?
- 類似性は万能ではない(同族嫌悪)
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類似性の法則とは?

冒頭でお話した「共通の趣味があれば仲良くなれる」というのは、『類似性の法則』によるものです。
類似性の法則とは
自分と共通点のある人に対して、親近感を抱きやすいという心理傾向のこと。
類似性の高い人同士が自然と惹かれ合うことは、心理学の研究においても多数報告されています。
日本のことわざで、「類は友を呼ぶ」というのはまさにそのとおりです。
人は基本的に自分にしか関心がない
恋愛や会社などで、コミュニケーション能力が高い方が有利なんてよく言われていますよね。
本当に有利かどうかはさておき、コミュニケーション能力が高いということは、相手のことに関心を寄せるのが上手いということです。
人は、基本的には自分のことにしか関心がありません。
自分の経験や知識の範囲内で物事を判断しており、その考えが正しいと認めてもらうことに喜びを感じるわけです。
そして、類似性が高い人の存在は、その承認欲求を満たすことに繋がります。
自分と同じ意見や考えの人に親近感を抱いたりするのは、こうしたことが理由として考えられるわけです。
相手の承認欲求を満たしてお近づきになる方法についてはコチラの記事をどうぞ。
共通点なら何でも影響するの?

相手との共通点があることは、仲間意識を生じさせます。
好きなアーティストや、野球チームなど、あなた自身もこれまでに一度は経験したことがある感情のはずです。
では、趣味や出身が同じなどのわかりやすい共通点以外に、どれくらいのことにまで影響されるのしょうか?
この共通点の影響力についてのおもしろい研究をご紹介します。
名前の響きだけでも無意識のうちに影響する
社会心理学者のランディ・ガーナーらは、名前についての4つの調査を行いました。
先行研究により、「名前の親しみやすさは選挙の投票率にまで影響が出る」ということがわかっていましたが、こちらの調査はもっと身近な「自分の名前との類似性」についてです。
4つの調査の中に、郵送調査票の返送率を調べた研究があります。
先に結果をお伝えしておくと、名前の響きが似ているということだけでも共通点としての効果があることがわかりました。
被験者について
- 知識によるバイアスをなくすため、心理学部以外の大学教授60名が調査対象。
研究手法の概略
- 被験者の大学教授60名へ向け、調査票の記入および返送の依頼状を送付。
- そのうち30名には、それぞれの宛名に似た響きの依頼人名の用いた。
- 残りの30名には、宛名とは名前の似ていない研究助手の名前を用いた。
結果の要約
宛名と依頼人名の響きが似ている方が、調査票の返送が2倍ほど高かった。
- 依頼人名と似ている場合、返送率56%(17名)
- 依頼人名と似ていない場合、返送率30%(9名)
さらにその後、調査票を返送してくれた教授らへ向けて、返送理由の調査も行っています。
追加調査
- 調査票を記入および返送してくれた教授ら全員が対象。
- 別途、返送への感謝状と共に、調査への協力理由のアンケート返送依頼を送付。
追加調査の結果の要約
調査への協力理由として、名前の類似性を挙げた人は誰もいなかった。
- 依頼人名が似ている場合で返送した17名のうち、9名がアンケートに回答した。
結果として、名前の響きが似ていることの影響力は大きいということ、さらに相手はその影響力に気づきにくいということがわかりました。
このように、相手との共通点を自然と散りばめることは、説得や交渉を有利にすすめるのに役立ちます。
ほんのちょっとした共通点でさえ、自分と関連があることであれば、無意識にでも興味を惹かれてしまうわけですね。
このような心理的影響力をもっと知りたい方には、コチラの書籍をおすすめしておきます。
類似性は万能ではない(同族嫌悪)

ここまでは、共通点のもたらすポジティブな効果について説明してきました。
ところが、共通点が多ければ多いほど確実に仲良くなれるかと言われると、そうとも限りません。
つまり、「似ているからこそ不快に感じる」という場合があるわけです。
これを『同族嫌悪』と呼びます。
同族嫌悪とは
自分と同じような性質を持つ人に対して、妬みや憎しみを感じて嫌うこと。
対象となる性質は、「考え方」や「立場」が似ているなど様々です。
本来は興味を惹かれやすいはずなのに、どうして嫌悪感を抱いてしまうのか考えてみましょう。
同族嫌悪になりやすい例
- 相手自身がマイナスと感じている性質と類似したため。
- 相手のプライドが高く、他人と一緒にされたくないため。
- 同じ立場のはずなのに、ちょっとした劣等性により嫉妬されたため。
- 似ている性質に、ちょっとしたルールの違いが生じたため。
仕事の同僚や兄弟姉妹などの長期的な関係ほど、お互いの比較時間が長くなるので同族嫌悪には注意が必要です。
嫉妬心を感じやすい人の対策はコチラの記事をどうぞ。
ビジネスなど売り込みの糸口としては、類似性を自然とアピールする方が親近感を強めることに繋がります。
反対に、チームで協力して仕事をする場合は、似たもの同士は離した方が賢明です。
共通点が導く心理効果のまとめ
さいごに、この記事のポイントを再確認します。
ポイント
- 類似性の法則とは、自分と共通点のある人に対して親近感を抱きやすいという心理傾向。
- 人は基本的には自分にしか関心がなく、類似性はそんな相手の承認欲求を満たす。
- 自分と関連があることであれば、無意識でも影響されやすい。
- 類似性は、相手の心理状態によっては同族嫌悪を生む場合もある。
このように、類似性にはポジティブな面とネガティブな面の両方に大きな影響力があるわけです。
両面の性質を知った上でも、心理学的には相手を動かすための手段として類似性は有効と言えます。
参考文献
- Gamer,R. (2005). What’s In A Name? Persuasion Perhaps. Journal of Consumer Psychology, 15, 2, 108-116.
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